4月にEcozzeria.jpにコペンハーゲンの廃棄食品を使ったレストラン、rub&stubのはなしを書いた。

この記事では仕組みを説明したり、お客さんとしての感想も書いたけれど、
特徴的なのがはたらく人たちがボランティアであるということ。

このレストランはボランティアによって運営されている。運営の安定性のために有給で雇用されているシェフやホールのリーダー、運営リーダーの他はすべてボランティアの市民たちだ。中にはぎこちなさの漂う人もいるが、それもこの場所の妙。お客さんは皆、コンセプトや仕組みに共感してきているからそうした面も楽しんでいる。きっと飲食店でボランティアで働くなんて、と思う人が多いだろう。

働いている人に働く理由を訪ねてみると、「この場所が好きだから」「たのしいから」「このプロジェクトを応援してるから」という声。誰もが楽しんで参加しているから、スタッフの間にもとてもいい空気が流れている。

 

そう、この新しい価値観の浸透のためにたくさんの人がここでボランティアで働いている。ベーシックインカムのある高福祉国家だからこそという見方もできるけれど、逆に言えばこういう価値観の更新へのコンシャスさがあるからこそベーシックインカムがあっても社会が成り立つ、つまり退廃的でやる気のない人ばかりでは到底成り立たない国のシステムがまわっているようにも思う。

下記は今朝タイムラインに流れてきたいつも楽しく拝読してる方のビールについてのお話。クラフトビールの会社は大小あれどという文脈。美味しいのは当然として、それに加えてコミュニティとの関わりで判断されるべき、と。たしかに有名ではあるのだけど空港以外で誰かと飲んだことはないビールも多いし、ある会社はとっても気持ちのいい大きなバーをパールにオープンしたけれど、増資によって潤沢な資金を持って急拡大するやり方を避難する声も多い。缶がかわいいあの会社なんかはオーナーが逮捕されちゃって色んな噂。ずっといる訳でもない外国人の僕にさえこんなにビールにまつわる話が入ってくるわけだから、もうポートランディアにとってビールはただ飲み物を飲むだけのことを越えてるのかもしれない。

コペンハーゲンやポートランドの新しい価値観でつくられる小規模なビジネスに触れていると、自分の選択が来月その会社があるかどうかを左右する感覚がある。先週来、飲食店の閉店についての記事がタイムラインでたくさんシェアされたけれど、なかなか自分の選択が対象の存続に関わることは想像しずらい。人間の脳の構造上、もうそれは仕方ないけれど、ブームとかそういうものを越えて、ほしい未来をつくりたいと思うのであればその価値基準(プリンシプル)を持った層がある一定人数いることがイノベーションの普及には欠かせないはずだ。なんだか長くなったけれど、ポートランドで起こっていたうねりは、そういった新しい生活価値へのアーリーアダプターの数が多かったことが大きく寄与してる。どちらも社会の仕組みの変容期における強烈な「不安定」が原動力になっていた。ポートランドは安定期にはいりつつあると言われるけれど、そこにまた動きをもたらそうとする人たちもいるのだからまだまだその動きは面白い。

デンマークのたった1つのレストランの小規模な挑戦はたくさんの支持をえて、廃棄食品のスーパーもできたし、欧州各国では廃棄食品への意識の高まりがでてきている。背景には食料需給におけるグローバルトレンドと政治があったりするわけだけれども、デンマークでの成功例は必ず参照されているはずで、つまり小さくても新しい価値観の旗が立って、それを正しく応援できるコミュニティがそこにあればちょっとずつモノゴトは動いていく。
小さくても旗を立てる勇気が必要だし、それを応援する勇気と根気はもっと必要だと思う。

cpt 2016-04-21 14.39.21